事件の概要:原告は広東省東莞市にある高精度コネクタ及びLEDブラケットの研究開発・生産・販売を専門とする大型製造会社であり、ケーブルコネクタに関するある意匠特許権(以下、本件の特許デザインと略称)を保有している。第三者が、当該意匠が既存の意匠と著しい相違点がなく、特許法第23条第2項の規定に合致しないという理由で、特許無効宣告を提出し、中国国家知識産権局は、無効決定を下した。
原告は、北京傑爍法律事務所の朱潔瓊弁護士と北京箴思知識産権代理有限公司の李春暉弁理士(以下、原告弁護士と総称する)を雇い、北京知識産権裁判所(以下、北知と略称)に意匠特許権無効宣告行政訴訟(本件)を提出し、中国国家知識産権局の無効請求審査決定の取り消しを申請した。最終的、原告が勝訴した。
本件の中核争点の焦点は、本件の特許デザインと先行デザインとの間に特許法第23条第2項に規定する明らかな差異があるか否かである。
中国国家知識産権局は、本件の特許デザインと先行デザインとの間に明らかな差異はないと考えている。本件の特許デザインと先行デザインとの相違点は4点あり、ここで、相違点(1)は、製品全体に占める面積が小さく、「局所的な微妙な相違点」であり、相違点(2)は、機能的デザインと慣習的デザインであり、製品の背面に位置するため、それに対する一般の消費者の注目が低いことであり、相違点は(3)と(4)は、製品自体のサイズが小さいため、この2つの相違点の製品全体に占める割合がより小さいことであり、そのためこれも局所的な微妙な相違点に属する。
原告の代理人は、上記の理由をめぐって、中国国家知識産権局の無効な決定を取り消すためには、中国国家知識産権局が提出した4つの相違点が、一般消費者が思う局所的な微妙な相違点に属さないことの立証に重点を置く必要があると訴訟の思路を決定した。それが局所的な微妙な相違点であるかどうかを判断するには、まず「一般消費者」とは何かを定義する必要があり、次に、この「一般消費者」から見て、4つの相違点が製品の全体的な視覚効果に重要な影響を与えることを実証する必要がある。
原告の代理人は、上記の思路に基づいて厳密に理由を説明し、最終的に裁判所の支持を勝ち取った。