近日、2021年のノーベル化学賞が発表され、ベンジャミン・リスト氏とデービッド・マクミラン氏が「非対称有機触媒の発展」に卓越した学術的貢献をした理由で受賞した。ノーベル賞受賞者の奮闘経験は、私たち一般の人々に思考と啓発をもたらすことが多い。2019年のノーベル化学賞受賞者であるジョン・グディナフ氏(John Goodenough)は私に最も印象に残っている受賞者だ。グディナフ氏は受賞当時97歳で、これまでのノーベル賞受賞者の中で受賞時の年齢が最高の方である。
公開された資料によると、グディナフ氏は米テキサス大学オースティン校の機械工学科の教授、固体物理学者で、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム陰極材料の発明者であり、リチウムイオン電池の創立者の一人である。また、知恵芽グローバル特許データベースにおいて検索すれば、グディナフ氏が最新の時点で126カ国・地域において107件の特許出願を提出しており、その中に有効な特許が21件であり、授権した発明特許が48件であることがわかる。なお、上記100件余りの特許の主な出願人は、ケベック水力発電公司及びテキサス大学システム取締役会である。
グディナフ氏の全ての特許を分析したところ、それらの技術の研究開発の重点は主に再充電、リチウムイオン電池、陰極材料、アルカリイオン、ポリアニオン、化合物、充電電池等の専門分野に焦点を当てていることが分かった。
特に注目すべき点は、一般的に、1件の特許が引用された回数は、その分野における当該特許の影響力及びイノベーションの程度を反映しているということである。引用された回数が1000回を超えるグディナフ氏の特許は、「Cathode materials for secondary(rechargeable)lithium batteries(充電可能)リチウム二次電池用陰極材料」(特開番号:US5910382A)である。また、この1件の特許だけで7件の特許訴訟にかかわっており、業界におけるこの特許の重要性を反映している。